診察室では伝えきれないこと Vol.97~愛媛経済レポート~令和5年3月号

~診察室で伝えきれないこと~

愛媛経済レポート

令和5年3月号に掲載されたコラム

 

むし歯/神経

 

 深ーいう蝕(むし歯)に対してアプローチは本当に難しい

 日本や海外(国際的な)むし歯を除去するガイドラインの推奨は、「段階的な除去」…。そうなんです。そうなんですが、実際の現場はそんなに簡単にいかないのが現実。臨床の現場では、多くの場合で「段階的ではなく、しっかりむし歯を除去」を選択することになるのですが(私は)、深いむし歯では常に「神経を残せるのか⁈残せないのか⁈」の選択を迫られ「神経を何とか残せないか?」を考えることになります。

 患者様の立場はもちろん「神経を残してくれ!」。その通りなのですが、歯科医師側の立場もほんの少し記載すると…。

 本日何とか神経を残しても、数日後に痛みが出てやはりダメだった。となるリスクや、症状が軽度の深いむし歯なのに処置することにより痛みが増すリスク等いろんなことを頭に巡らせます。

 神経に到達するほど深―い虫歯の処置を簡単に記載してみます。

  • 露髄面に特殊なセメントを置き神経を残す(直接覆髄)(※むし歯の除去中に神経に達することを「露髄」と呼ぶ)
  • 断髄(露髄面から少しだけ神経を切断して)し、奥深くの神経は残す
  • 抜髄(いわゆる神経をとる処置)

 歯の治療は一度選択すると元に戻れない為、3つの選択の根拠に、レントゲンや様々な情報を元に判断します。

 この選択の根拠に「露髄した穴(数ミリ)を顕微鏡で思いっきり拡大して観察し判断する」というのが、最近の歯科界のトピックの一つ。

 では、我々はその数ミリの世界の何を診てるのか⁈数ミリの中に走っている毛細血管の走行と色です(笑)。これ、本当です。どうです?歯科の世界って本当に小さい世界なんです。

 神経を残したい気持ちは患者様も歯科医師も一緒!

 今回は歯科医師が何を診ているのか⁈ちょっとマニアックな話ですが知っていただけたら!

 


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