診察室では伝えきれないこと Vol.95~愛媛経済レポート~令和5年1月号

~診察室で伝えきれないこと~

愛媛経済レポート

令和5年1月号に掲載されたコラム

 

インプラント治療/プラークコントロール/歯周病

 

 インプラント治療の光と影⁈

 2023年、新年最初のトピックは「インプラント治療の光と影」。このタイトル、私が考えた訳ではなく最近の歯科雑誌に載っていたタイトルです。

 国の調査でも、40代以降でのインプラント治療経験者は約5%(もっといるのでは?)。安定したインプラント治療の普及により、隣の歯を犠牲にするブリッジや違和感の強い義歯を避けることができ、多くの患者様を救ってきたことは周知の事実。ただ、光の部分のみではなくインプラント治療に影の部分があるのもまた然り。

 インプラント治療において、術後のトラブルの多くを占めるのが「インプラント周囲炎と周囲粘膜炎」。

 診断基準の相違はありますが、簡単に説明すると「インプラントを支えている周りの歯茎や骨の炎症(周囲粘膜炎は骨にまで炎症はなく、周囲炎は骨の吸収が認められる)」。

 そして、このインプラント周囲の2つの炎症のリスクファクターとしてあげられる大きな要因が①プラークコントロール、②歯周病の既往、③治療後の継続的なメインテナンスの有無。

 ②の既往は置いておいたとしても、①③は天然歯と一緒では?

 さらに他の見解では、明確なエビデンスを持つものは「プラークコントロールのみ」と言われたり。とにかく①がめちゃくちゃ大事。

 再度復習です。プラークコントロールとは、「歯垢(しこう)」であるプラークを取り除き、口内環境を正常に保つこと」。取るのは歯垢であって、決して食べカスでないところがポイント

 でもこれは自分の歯(天然歯)と全く一緒。自分の歯が磨けなくて(プラークコントロールができてなくて)歯周病になり抜歯した歯は、インプラント治療を行ってもプラークコントロールが改善されてなければ同じ道を辿る可能性が高い

 インプラント治療経験のある皆様、治療を検討している方に再度認識していただければ幸いです。

 


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