診察室では伝えきれないこと Vol.94~愛媛経済レポート~令和4年12月号

~診察室で伝えきれないこと~

愛媛経済レポート

令和4年12月号に掲載されたコラム

根管治療/歯根端切除術/根尖性歯周炎

 

 最後の一手??

 「根っこの治療の成功率が実は100%ではない」「再治療となると60%程度にまで下がることがある」極めつけは「患者さんは治ると思っているが、実は歯科医師の認識とは大きくズレがある」などと、聞きたくないフレーズを連発した根管治療のお話。

 そんな根管治療が上手くいかなかった時に、最後の一手となるべく登場する「外科的歯内療法(歯根端切除術)」。有名な著書「世界標準の臨床歯内療法2」の序文にも、顕微鏡を使ったモダンテクニックプロトコル下の歯根端切除は近年インプラントに並び最も『患者利益』に直結した歯科的革新の一つと言っても過言ではないとしっかり書かれている。

 では「歯根端切除術とは一体何か?」少ない字数ですが、今回のテーマに挙げて説明していきます。

 根っこの病気である「根尖性歯周炎」は微生物が原因で発症する「炎症性の疾患」。つまり、病気自体は感染した結果である…ということなのですが、治療方法として通常の根管治療は「根っこの中からアプローチ」します。根っこの中をできる限りキレイにし患者さん自身の身体の力も借りて病変を治す。だが不幸にも、前述した一般的な治療方法で治り切らない場合…病変を外からアクセスして直接取る!とする一見するとトリッキーな方法が「歯根端切除術」。病変と共に、原因となった部分も一緒に切り取ってしまえ!というコンセプトです。

 外科的な歯内療法は、歯内療法を得意とする歯科医師にとって必ず体得しなければならない術式の一つ。理由は質の高い根管治療を行ったとしても必ず治ると限らないのが「根尖性歯周炎」だから。

 例えば100本の歯があります。再治療の成功率が60%で40本治らないとしましょう。そこで諦めず「歯根端切除」を行う。この成功率が80%であれば40本中32本の歯を助けることができる。結果…92本の歯がマネージメント可能に。こんなマネージメントのイメージで私たちは考えています。

 


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