診察室では伝えきれないこと Vol.89~愛媛経済レポート~令和4年7月号

~診察室で伝えきれないこと~

愛媛経済レポート

令和4年7月号に掲載されたコラム

歯根膜炎/咬むと痛い/歯周病

 

意外と「やっかい」な歯根膜炎

 「咬むと痛い」何かおかしい!と思い歯科医院に行っても「むし歯はない」と言われる。こんな経験ありませんか?今回は、そんな症状の疑問解決の1つになるかもしれない「意外とやっかいな”歯根膜炎”」についてお話します。

 私達の大事な歯は、歯槽骨と呼ばれる骨の中に埋まっておりその上に歯茎がある。言い方を変えると、歯茎の下には歯をガッチリ支えている骨がある。ただ歯と骨は直接くっついているわけではなく、「歯根膜」と呼ばれる「歯」と「骨」を繋ぐ靭帯のようなもので結ばれています。この「靭帯」のような「歯根膜」が物を咬んだ際の感覚のセンサーになっており、咬んだ時の様々な感覚(柔らかい、硬い)を担っています。「歯根膜」に炎症が起きることを「歯根膜炎」と呼ぶのですが、「歯根膜炎」を起こすと咬むと歯が痛く感じたり、浮いたように感じたり…そう、むし歯が無くても「歯根膜炎」を起こしている歯は痛く感じるのです。

「歯根膜炎」を起こす原因は、大きく分けると2種類(学術的な分類じゃないよ)。細菌感染で歯根膜が炎症を起こしている「感染性歯根膜炎」、それから「非感染性歯根膜炎」です。

 「細菌感染での歯根膜炎」はよく知られている「歯周病」や「むし歯」の細菌感染症。もう1つは「非感染性の歯根膜炎」。歯ぎしりや食いしばり、咬み合わせが不安定になっていたりすると、歯に力が強く加わるので、感覚センサーになっている歯根膜には、過剰に力が掛かり炎症が起こります。この場合、むし歯でなくても歯が痛く感じてしまいます。

 歯根膜炎の「やっかいな部分」はレントゲンや視診で判断し難い場合が少なくないこと。特に「非感染性の歯根膜炎」の場合は、一時的な炎症の場合も多いので「様子を見てみましょう」と歯科医師に言われる場合も多く、「何もしないの?」と疑問に思う方も多いはず。今回は、そんな疑問の解決に少しでもなればと思い「歯根膜炎」をとりあげてみました。

 


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