診察室では伝えきれないこと Vol.86~愛媛経済レポート~令和4年3月号

~診察室で伝えきれないこと~

愛媛経済レポート

令和4年3月号に掲載されたコラム

 

痛くない/治療/相談

 

今は痛くないからそのままで・・・

 「今は痛くないからそのままで…」。この会話、かかりつけの歯科医師と交わした覚えはありませんか?私のクリニックでも聞く珍しくない患者様とのやり取りです。
 レントゲン等で症状を確認後、根っこの先に炎症がある、大臼歯の2本の根っこのうち1本が折れている可能性が高い、歯周病が進行している等状態を説明し、「治療したほうがいいと思う」とお話をする。「先生、今は痛くない。今忙しい。できればこのまま使いたい。だめですか?」という感じでしょうか…。今日の本題はここから!
 「では、いつまでなら粘っていいのか」。
 何事にも目標設定や出口戦略が必要なのと一緒で、その時点では「使えるまで使う!」と結論を決めても、どこまでなら使うのか。どうなったら治療するのか?治療した場合のコストと期間はどうなのか?歯科医師と予め相談したり決めておくことはとても重要であり、この辺の話は詰めておく必要があります。
 なぜなら隣の歯に影響が出たり、将来的に治療方法(希望)が決まっている場合は、たとえ治療によって歯を失うリスクがあっても、今はこのままでと患者様から言われても、早めの介入が絶対必要な場合があるからです。
 具体的にこのケースはここまで、このケースは早く治療して等の説明はここでは行えませんが、必ず必要なコミュニケーションになることを覚えておいてください。
 そして、長い時間軸で慢性的な疾患をコントロールするためには変化を見逃さない(追っていく)ことは本当に大事です。
 患者様からの訴えや歯周病の検査や、レントゲン。単純なことで「またか」と思われるかもしれませんが、客観的な数字や画像の積み重ねはものすごく重要。「突然の歯周ポケットの変化」や「半年前からの影の大きさの変化」を私達は見逃さないように日々診療しております。

 


ノエルクリニック心臓血管外科歯科