診察室では伝えきれないこと Vol.73~愛媛経済レポート~令和3年2月号

~診察室で伝えきれないこと~

愛媛経済レポート

令和3年2月号に掲載されたコラム

歯周病/愛媛経済レポート/口腔内環境と全身疾患

口腔内環境と全身疾患

口腔内環境と全身疾患(特に糖尿病)について・・・決して新しいトピックではないですが、医科歯科連携が注目され医科の先生方と歯科の先生方がzoom等のオンライン勉強会で繋がる機会が増えたと感じます。昨年の歯科医師会でも医科の先生を招いた講演では全身疾患と口腔内環境の繋がりのお話でした。本日はその辺りの内容を分かりやすくお伝えできればと。

現在、糖尿病学会での診療ガイドライン2019年から歯周病が糖尿病の合併症の1つとして独立して解説されています。そして、糖尿病治療は歯周病の治療の改善に有効かということに関して、学会のステートメントでは糖尿病治療により歯周病の炎症が改善することがあるとされています(推奨グレードB)。逆に!二型糖尿病では歯周治療により血糖が改善する可能性が高く、推奨(なんと推奨グレードA)と報告があります。

こらは口腔内の炎症を取り除くことで全身の炎症が改善していると考えられているからだと思いますが、歯周病も糖尿病も言ってみれば血管病・・・互いに影響を与え合っていても全くおかしくないのです。海外の論文では3ヵ月毎の厳格な歯周治療により12ヵ月後に血糖が優位に低下したという報告も。

もう一つここで考えさせられるのが、糖尿病と歯周病の治療は似ているという点。糖尿病も歯周病も治療(コントロール)が難しい理由の一つに、医師が治療をして(手術をして)結果が出る疾患ではないところ。本質は「正しい知識を患者さんと医師が共有」→「患者さんが納得」→「そして行動」→「結果」。あくまで患者さんが「納得→行動」することこそが大事。

歯周病に関しても、全く一緒なんです。生活習慣が多く絡む歯周病も、歯科医師や歯科衛生士の手だけで良くなる事はありません。あくまで生活背景を含む習慣把握と改善(納得)、そしてセルフケアの徹底(行動)により結果が出ます。最後に・・・生涯にわたる治療が必要ということも同じかな。今月はここまで。


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