診察室では伝えきれないこと Vol.72~愛媛経済レポート~令和3年1月号

~診察室で伝えきれないこと~

今年もよろしくお願いいたします。

令和3年1月号に掲載されたコラム

歯周病/歯周再生療法/リグロス/マイクロスコープ

歯周再生療法への道

新年あけましておめでとうございます。今年もコツコツと、読者の皆様に一つでも本質的な医療情報を・・・と思っております。

さて、ノエルの今年の目標のひとつに「歯周再生療法、限界への挑戦」というものがあります。今まで(一般的に)歯周病で失った骨は治療しても元には戻らず、悪くなるのを食い止める(現状維持)しかできない!とされておりましたが、そこに光を当てたのが「歯周組織再生療法」の世界。歴史的経緯としては、1950年代辺りから論文が発表されているわけですが、大きく前へ進めたのが2000年に日本で臨床応用が広まった「エムドゲイン療法」。

簡単に記すと「歯の発生期に起こっている歯周組織形成を模倣し、失われた歯周組織を再生する方法」20年間で2百万以上の臨床例と9百近い文献があり副作用感染の報告もなく、安全性、結果ともに確立されています。当院でも適応患者様には積極的に取り組んできました。結果も良い。ただ一つ、現実的な問題として「保健適応外」そこそこ高額なんです。が!そこに数年前加えられたのが「リグロス」を用いた再生療法。素晴らしいのが日本発の歯周組織再生医薬品、そして保健適応であるという点。本格的に臨床応用されてからは数年ですが、ノエルでも当然使用しています。長期経過含め期待大!

そして材料だけでは成り立たないのが再生療法の難しい所。中でも術者のテクニックに大きく依存すると言われるこの分野で大きく貢献しているものが「マイクロスコープ(歯科用顕微鏡)」です。再生させる上でキーとなる「創の初期閉鎖率」は顕微鏡の普及とともに劇的に向上しており、肉眼で治療していた1980年~90年代を遥に越える初期閉鎖率になってきております。

日常的に顕微鏡を使用する当院では、1本でも歯を救うために今年は再生療法に力を入れます。インプラント等の置換医療は最後の砦、今年も宜しくお願い致します。


ノエルクリニック心臓血管外科歯科