診察室では伝えきれないこと Vol.68~愛媛経済レポート~9月号

~診察室で伝えきれないこと~

令和2年9月号に掲載されたコラム

噛む力/歯周病予防/虫歯予防/噛みしめた時

 

「力」という要素について

皆様も「歯周病予防、虫歯予防」と耳が痛くなるほど聞いているかと思います。歯科医療も「削って詰める」の治療から、本当の意味の予防医療へ大きくシフトしようとしています。

歯は削ると元には戻らない。詰めてもそれは人工的な代用物です。つまり、治療を繰り返すほどに自分のボディーが無くなり、最終的には抜歯です。永遠に治療はできないのですよ。この本質が広がり、だからこそ!予防と時間という軸が必要です!となる訳ですが・・・。

大きく分けて、一般歯科での予防は「歯周病の予防」、「虫歯の予防」になります。この2つの要素で日本人は歯を失う事が多いので、研究論文も多くあり、ある程度コントロール可能になってきていると思います。

と今日のトピックの本題はここからです。「虫歯予防」「歯周病予防」の次なる課題として、それは「力のコントロール」かなと(私見)。実は皆様が食いしばったり噛んだりする力って凄いんです。

色々データはありますがざっと書きますと、ぐっと噛みしめた時、噛む力はその人の体重以上!普通に60kg平気で出ます。夜の歯ぎしりは、歯に体重の倍以上、データによっては200kg以上もの力がかかると言われています。

これ、凄い力じゃないですか?どんなに予防しようが、無意識にこんなに凄い力で毎日押さえつけられていれば、歯や周りの筋肉は必ず負担過です。予防の概念が広まることにより、年齢を重ねても歯の本数を失わず美味しく食事ができるようになってきています。しかし、歯が残れば残るほど、長い時間軸の中で力のコントロールと言うのは必ず必要になるはず。それではどうすれば?

学会等でも中々意見は分かれるところですが、ひとつ具体的な数字を示したいと思います。歯の一日の適正な接触時間は?実は約17.5分と言われています。食事も含めてです。短いと感じませんか?この解説は次回。それでは良い一日を!


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