診察室では伝えきれないこと Vol.104~愛媛経済レポート~令和5年10月号

~診察室で伝えきれないこと~

愛媛経済レポート

令和5年10月号に掲載されたコラム

 

慢性炎症/老化/歯周病

 

慢性炎症と老化と歯周病

「炎症」この言葉、よく聞きますよね?

 炎症は本来、私たちの身体が感染や怪我に対抗するための自然の防御メカニズムです。しかし、この炎症が長期間にわたって持続すると、「慢性炎症」という状態に陥ります。こうした慢性炎症は、がん、心筋梗塞、脳梗塞、認知症、糖尿病、うつ病など、多くの深刻な疾患に関連していることが研究によって明らかにされているのですが…ここからは歯科医師の領域→「慢性炎症の一例」として、「歯周病」を挙げたいと思います。

 歯周病は口腔内の細菌が原因で起こる感染症で、歯を支える歯周組織が最終的に失われること。なんと言っても歯周病の最も恐ろしい点は、症状が目立たないか、または全くないことが多いため、進行がかなり進んで初めて気付かれることです。

 と、ここで終わるといつもの話題で終わりそうなので、今回はそこに「老化」というキーワードもプラスしてお話しできればと。

 実は慢性炎症は「老化」のプロセスにも深く関与しています。炎症が持続することで細胞や組織がダメージを受け、その結果、体の機能が徐々に低下していくのです。これは、俗に言う「老化」の現象と直結しており、私たちの健康寿命にも影響を及ぼします。慢性的に炎症が起これば身体が慢性的に反応していることになるので、細胞レベルで考えれば当たり前に…壊れていきますよね。

 「静かなる殺人者(サイレントキラー)」とも称される慢性炎症ですが、その存在を知り、適切な対策を講じることが重要です。今回例で挙げた、一見老化に無関係に思える歯周病の慢性炎症が全身に影響を及ぼすこともそう。

 「なんとなく、ずっと疲れている…」こんな不定愁訴に悩まされている方にとって、原因の一つが、どこかで起こっている「慢性炎症」である可能性があります。

 


ノエルクリニック心臓血管外科歯科