診察室では伝えきれないこと Vol.102~愛媛経済レポート~令和5年8月号

~診察室で伝えきれないこと~

愛媛経済レポート

令和5年8月号に掲載されたコラム

 

神経/根管治療/破折/

 

神経がある!その大事さとは

 「この歯は神経がないから痛くない」「この歯は神経がないから弱いんです」なんて聞いたことありますでしょうか?

 本日は、歯にとって大事な「神経がある!その大事さ」にフォーカスを絞ってお話します。

 神経の治療をした歯(根管治療を行った歯)は、根管治療を行っていない歯と比較し、歯の喪失リスクが臼歯部で7.4倍!との報告があります。これだけでも結構な差があるなと思うのですが…歯を一生使いたいあなたにさらにもう一つ情報を。

 以前の記事で紹介した論文にもありましたが、30年にわたる長期間でのメインテナンスでは、抜歯に至った原因は半数以上が「歯の破折」によるもの。

 つまり、人類が「予防」を意識し始め、天敵だった「むし歯」「歯周病」を防いだとしても……最後の壁(敵)になるのが「歯の破折」。それでは、破折を防ぐためには?

 当然「力のコントロール」ということが大事になってくるのですが、「神経を取った歯は割れやすい?脆い?」なんて言われた事ありませんか?もう少し正確に書くと、神経を取った歯は歯冠の辺縁部分を失っている場合が多いので、破折しやすい…のですが、本日は意外に知られていない?もう一つの側面をご紹介します。

 それは、「失活歯(神経のない歯)は咬む力を反射的に制御する機能が低下している」こと。簡単に言うと、ぐーーっと咬みしめた時に、痛みを感じる負荷レベルの問題で、生活歯(神経のある歯)に比べると痛みを感じる負荷レベルは2倍以上であった!なんて論文も。

 「これ以上咬みしめたら危ないよ!」っていう信号が生活歯に比べて倍違う。これは、無意識に強い負荷がかかっている原因になる可能性が高いと考えます。

 ここまで来て皆様はどう感じましたか?実は神経を残す治療方法も顕微鏡での治療や材料の向上により、格段に精度、成功率が上がってきております。今度治療法もここで紹介出来ればと!

 


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