診察室では伝えきれないこと Vol.80~愛媛経済レポート~令和3年9月号
~診察室で伝えきれないこと~
愛媛経済レポート
令和3年9月号に掲載されたコラム
スポーツドリンクはむし歯になる?
スポーツドリンクはむし歯になる…こんなお話聞いた事はないでしょうか?よく聞かれる質問なので、今回記事を書くことにしました。
多くの人が漠然と理解しているスポーツドリンクのむし歯のリスク。知識と行動と思考こそがあなたのお口の中を守ってくれます。それでは行きましょう!
皆さんの大好きなポカリスエット、この飲料水のリスクは大きく2つ。
1つは、大量の砂糖が入っていること。ポカリにはおおよそスティックシュガー10本分の砂糖が入っています。
むしば菌は、砂糖(ショ糖)を餌にして酸を出し歯を溶かします。大量の砂糖が口腔内に来る=栄養最高栄養満点!とむしば菌が叫び「酸の産生」が活発になります。結果むし歯に…餌がなければ酸を出しませんので、スポーツドリンクはむしば菌に最高の餌を与えることになります。
さて、砂糖が入ってなければ良いんでしょ!と突っ込む方に、2つ目のリスクも説明しましょう!
2つ目のリスクはPHが低いことです。歯を守る一番外側のエナメル質はPH5.5以下で溶け出すとされています。これをエナメル質の「臨界PH」と呼びます。それではポカリスエットのPHは?なんと3.5です。ちなみにコーラは2.2、愛媛県人大好きペットボトルポンジュースは4.0になります(おおよそね)。
では、5.5を下回る飲み物を飲むとすぐに歯が溶けるのか?というとそうでもなく…私たちの身体は素晴らしく、酸性に傾いた環境を中性に戻す「唾液」があります。
ただし、就寝中は唾液の量が落ちるので、夜寝る前にこういったPHが低い飲み物を飲まない等の工夫は必要です。他には、よく噛んで唾液をよく出すとか(糖と歯の表面の接近を防ぐために、ポカリをストローで飲むことを推奨する歯科医師もいます)。
以上のリスクを知った上で飲料水と付き合うことが大切です!
ノエルクリニック心臓血管外科歯科