診察室では伝えきれないこと Vol.87~愛媛経済レポート~令和4年5月号

~診察室で伝えきれないこと~

愛媛経済レポート

令和4年5月号に掲載されたコラム

クラウン装着/根管治療/神経の治療

 

 

根管治療後抜歯になった歯には共通点が⁈

 

 中々衝撃的なタイトルでございます。「次回、型取りするので、材質を説明しますね」。この会話、歯科医院で聞いたことがある方、多いと思います。

 歯の寿命とその歯(人)のリスクに合わせた材質選びは大きな関わりがあり、歯は抜歯になると戻って来ないのでじっくり考えていただきたいのですが…本日は材質ではなく治療方法による寿命の違いの一例を紹介したいと思います。

 アメリカで初めて神経の治療(根っこの治療)をした歯を、8年後に調査した論文があります。その結果、97%の歯はお口の中で一応機能しており、生存率は97%。生存率は簡単に言うと「お口の中に残ってる」という理解なので、正確に言うと治癒率や成功率とは違います。ただ、この論文で確実なことは「根っこの治療を行うことで97%は8年間お口の中で機能している」。

 なるほど、神経の治療は地味で嫌われるがとても大切な治療なんだ、という考察が出ている一方、抜歯になってしまった3%の歯を調査すると面白い結果が出ています。3%の中の87%が根管治療後(根っこの治療後)、クラウン未装着歯(被せていない歯)だったのです。実際には前歯、小臼歯、大臼歯に分かれてたりしますが、その解説は今回は省きます。

 治療方法によって数倍違うこの結果、あなたはどう感じますか?実際に削る量が多いのはクラウン装着歯。その時歯を削る量が少ないのはクラウン未装着歯。でも、この論文で長持ちしているのはクラウン装着歯…歯を削らないのが一番!ただしその目的は「歯を一生長く使用するため」、目的が「歯を削らないこと」ではないのです。

 もちろん、患者様の咬み合わせや年齢、背景によっても取るべき選択肢は違いますが、歯科医師はこういった「事実」とも向き合って治療を行っています。

 そんな事を知ってもらえたら…この続きの解説、ノエルクリニックのYouTubeにアップされてますので気になる方はそちらへ。

 

 


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