診察室では伝えきれないこと Vol.60~愛媛経済レポート~令和2年1月号

~診察室で伝えきれないこと~

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令和2年1月号に掲載されたコラム

京オリンピックイヤー/歯周病/歯周炎/喫煙と糖尿病

20年ぶりに改定された歯周病新分類にみる

2020年です。東京オリンピックイヤー「すべての人の心に花を」。かつての実況「泣いています・・・笑っています」のよう、多くの人が感動に包まれる年でありますように。

本日のテーマですが、日本人が歯を失う原因で最も多い「歯周病」の「新分類」について。ちょっと学術的で難しいお話になるのですがお付き合いください。

まだ日本では正式に教科書等採用されていませんが、ヨーロッパ歯周病学会と米国歯周病学会のオーソリティー達の合同の成果により、前回の分類以来ほぼ20年ぶりに歯周病の分類が改訂されました。

さてなぜこの話をしたかと言うと、より臨床(現場)に近い分類じゃないかと僕は思うわけです。

具体的に言えば、臨床上の健康状態が分類内で初めて定義され、歯周炎は、重症度の軽いものから重いものへと4段階、そして疾患進行率とリスクは3段階で表現されています。

そしてこの進行度を分ける上で重要な修飾因子に喫煙と糖尿病がガツンと入っているのです(ここ、このコラムで強く言いたいトコロ)。

そしてこの分類は患者様への説明にも使いやすい。「あなた、今ステージ3です。進行度はC、このままいくと・・・」、「進行度の修飾因子に喫煙と糖尿病の値が入ってまして・・・このまま行くと・・・タバコ・・・どうします?笑」と説明が簡単。

全身疾患(例えば癌)ではステージ3とか4とかイメージ付きやすいですよね?

さらに前述したように「健康な歯周組織」についても議論され、「BOPがないこと」とされています。BOPとはもの凄く簡単に表現すると「出血がないこと」つまり「出血がある=病気があるのよ」ということです。

歯磨き中に出血するという方いらっしゃいませんか?歯周病の病態において「出血」というのは大きな意味を占めます。ぜひ、今年は検診に行きましょう!それでは今年も宜しくお願い致します。


ノエルクリニック心臓血管外科歯科