診察室では伝えきれないこと Vol.105~愛媛経済レポート~令和5年12月号

~診察室で伝えきれないこと~

愛媛経済レポート

令和5年12月号に掲載されたコラム

 

光学印象/顕微鏡治療/

 

Adapt or Die

 「Adapt or Die」

 これは今年の国際歯科学会である著名な先生が述べた言葉です。「生き残る種とは、最も強いものでも最も賢いものでもなく、最も変化に適応したものだ」という、ダーウィンの言葉に近いものですね。

 私が開業してから10年が経過し、歯科業界の技術革新は目覚ましいものがあります。具体的には、近年は歯科診療へのデジタル化の流れが一番大きな変化かなと。

 15年ほど前に初めて「光学印象」の講演を聴きに行きました。これは、歯の情報をレーザー等の光により口腔内で直接計測する型取りの方法です。3Dカメラでお口の中を撮影して、そのままモデルレスでセラミック等を完成させる技術は、当時は歯科業界の一部で応用され始めていましたが、今では普通の歯科医院で普通に行える技術の一つです。当院でも既に導入しています。このデジタル技術を駆使すれば、被せ物や顎の位置の決定にとても便利です。

 今後は「ChatGPT」のようなツールで診断支援もできるようになるかもしれません。その他、神経や血管をCT画像とリアルに重ね合わせながら行うインプラント手術や、レントゲン診断の支援ツールなどが登場する可能性は大。考えるだけでワクワクしますが、そんな中でアナログながらも、まだまだ突き詰められているのが、歯科医師自身の手によらなければ修復できない部分。歯科治療は非常に細かい作業を要します。歯科医師は歯の3層構造(エナメル質、象牙質、歯髄)のどの部分を削っているのか、あるいは削っているのが歯か骨かをある程度手の感覚で判断できます。今後、オペレーションの支援はあれど、最後は人間の手が必要。

 そして、人間の手の精度を極限まで高めるために重要なのは「顕微鏡治療」だと私は考えています。私たちが得意とするこの治療の需要は、これからも高まってくるはず。来年も「YouTube」や本紙で情報発信していきますので、皆様のご支持をお願いします。

 


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