診察室では伝えきれないこと Vol.109~愛媛経済レポート~令和6年4月号

~診察室で伝えきれないこと~

愛媛経済レポート

令和6年4月号に掲載されたコラム

 

金を使うならカラダに使え/破折/犬歯

 

金を使うならカラダに使え byホリエモン

 「金を使うならカラダに使え」(堀江貴文/著)。刺激的なタイトルだが、予防医療普及協会監修ということで手に取ってみた本。

 医療の中に身を置く人間として感じることは、この本で指摘されているように、医療や生化学分野の進歩の凄まじさに驚くばかり。凄いスピードで新たな治療法や薬剤の開発などが行われています。この本によると「今や欧米の医学会では老化は病」と言われており、病気であるならば、克服が可能だと結論付けることもできると。

 本日はその中でも私の専門の口腔、歯の部分を抜き出して考察していこうと思います。

 多くの他の本に書かれている歯周病とむし歯。それよりも、この本が特に注意喚起しているのは、「歯の破折」(歯が割れる)リスクについて書いていることが歯科医師としては嬉しい。そして、私とは表現の方法は違いますが、「糸切り歯」いわゆる「犬歯」の大事さをハッキリ理由も含め明記している点に非常に驚きました!歯科医師が多くの歯を治すときに、最もキーとなる歯「犬歯」。この内容は是非読んでいただきたいです。

 そしてもう一点!これも私が講演会で話していることそのまんまの表現が。「人類がこんなに長生きする予定がなかったから、歯はそこまでの耐久性がない」「伸び続けている寿命に未だ歯が対応できてない」という現実。

 歯科医師的な側面から考えると、歯周病の進行抑制、治療法はある程度確率されてきている。再生療法も確立されてきている。むし歯の予防、処置もある程度確率されてきている。この二つに関してこの数十年である程度結果も出ている。しかし、歯の破折や細かいヒビに関しては、対応が難しいのが現実。「むし歯」「歯周病」を克服しつつある人類の次なる壁になるのが「力による歯の破折」。

 歯だけではなく、細胞について、腎臓、大腸、肺、喉まで多岐にわたって医学的な知見が記載されています。良ければ手に取ってみては?

 


ノエルクリニック心臓血管外科歯科