診察室では伝えきれないこと Vol.63~愛媛経済レポート~4月号

~診察室で伝えきれないこと~

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令和2年4月号に掲載されたコラム

レントゲン/パノラマ撮影/歯科医師

レントゲンで歴史を診る

一般的に初診の際に撮るレントゲン。当院では、パノラマと呼ばれる顎全体が写るレントゲンを、基本的に全ての患者様に撮影させていただいています。そしてこのパノラマレントゲンは数年ごとに撮影します。その理由は何なのか?本日はそれを少し、説明したいと思います(歯科で使用する撮影は一般的に3種類あるのですが、今回はパノラマに絞らせてください)。

冒頭に書いた、なぜ私はパノラマ撮影を必ずと言っていいほど撮影させてもらうのか?その理由は、大まかなリスク判定とその人の「歴史」を診ることができるから。実は虫歯や歯周病だけなら、デンタルと呼ばれる小さいフィルムのレントゲンが最も解像度が高く診断はしやすいんです。

ただ、パノラマは顎全体(その人)を大まかに診ることができる。全ての歯のおおまかな様子、上顎洞や副鼻腔、両方の顎の状態、咬み合う面の歪み、そして腫瘍(確定診断は難しい)・・・たった1枚で!!です。

そしてこの1枚のパノラマを診て歯科医師は「他の治療根はないのに前歯だけ神経の治療してある、昔ぶつけたかな?」、「右側だけ治療が多い、かみ合わせの関係かな?よく診れば顎もちょっと右に偏っている・・・」、「4番目の歯がない、この子矯正したのかな」、「この患者さんにとって、将来この歯だけは失わないようにするのがベスト(イワユルkeyとなる歯)だな」なんて色々推測するのです。

そしてメンテナンスをしていく中で1年、または数年に1回パノラマを撮影すると、ここに患者様の時系列のデータが積み上がっていきます。「この昔治してたところ、すこしづつ合わなくなってきてるな・・・」「あれ?今までなかった黒い像がみえる」等。開業して7年、当院でも皆様の時系列のレントゲンが多くなり、より一人ひとりの背景に寄り添った診療ができるようになったと思います。

理由までは毎回説明できずにいるのでこの機会に!と思い書かせていただきました。


ノエルクリニック心臓血管外科歯科