診察室では伝えきれないこと Vol.56~愛媛経済レポート~9月号

~診察室で伝えきれないこと~

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9月号に掲載されたコラム

インプラント/診察室/入れ歯

インプラント治療の本質とは

 不幸にも歯を失ってしまったとき、歯科医師から提示する選択肢は基本的に次の3つ。「ブリッジ」、「入れ歯」、「インプラント」。選択肢の中の「インプラント」なのですが、一般的にはこういった説明をされるかと思います。

 メリットは「入れ歯と違って取り外しをしなくていいですよ」、「自分の歯のように咬めますよ、カタカタしませんよ」、「ブリッジと違って自分の歯を削りませんよ」。

 デメリットは「保険は適応外です」。「治療期間(回数ではない)はかかりますよ」、「全身的な既往歴によってはオススメできない場合もあります」。

 ですが、今回は私の考える「インプラント治療の本質」とは、ずばりこれ!

 「他の歯を守るため」、「歯を失う負のループを止めるため」。

 インプラントの何が良いって?基本的には単独解決型なんです。例えば歯を失う→ブリッジにする。もちろん、セラミックやゴールドの方が、銀歯よりも虫歯にはなり難いし長持ちはします。ただし、どれだけ良い材質で治療を行ってもいずれは劣化するのが人工物の宿命(天然歯も永遠ではないですよ)。

 それはつまり「基本的なブリッジの寿命より人間の寿命が長い場合、必ずやり変える必要性が出てくること」を意味します。

 ブリッジというのは、無い部分の前後の歯に助けてもらうことにより歯をあるように見せる治療法。当然、リカバリーしていくごとに設計は大きくなり、巻き込む歯も多くなる。やり直すほど、前後に削る歯は増え負のループが始まるわけです。インプラントは良くても一人、悪くても一人。歯を失った場所に入れる場合、隣の歯を巻き込むことはありません。不幸にも1本歯を失ってしまった場合、そこで食い止める、そしてその他の天然歯を守ることができる。

 インプラント治療の最も本質、そして上手く使えば魅力的な部分だと考えています。


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