診察室では伝えきれないこと Vol.55~愛媛経済レポート~8月号

~診察室で伝えきれないこと~

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8月号に掲載されたコラム

歯周病/歯磨き/愛媛経済レポート

落とすのは「食べかす」ではない!!!

先日の学会で、演者の方が非常に興味深いお話を。「1日8時間の睡眠時間を除くと、1年間で起きているのは5781時間。そのうち、我々が直接関われるのは、3ヶ月に1回歯周病のケアの為に1時間受診したとして、年間で4時間しかない」。これは逆も然り。5781-4時間=5777時間は患者様自身の「セルフケアに委ねられている」ということです。

 どう考えても「5777時間」のセルフケアが「貴方の人生のお口の中の健康」を左右する因子になることは間違いない。ですので毎回しつこく書きますが大切なのは「正しい歯科の知識」。

 毎日歯磨きをする人は増え続けており平成28年度の歯科疾患実態調査では「98%の人が毎日歯磨きをしている」とのこと。しかし、歯周病の基準の一つとなる「4mm以上のポケットがある人が増加」なんて事実も・・・(参考文献 愛読書tuft club vol.152より)。

 私自身は日本人の残存歯数が増えている為、この統計を鵜呑みにするのは間違っているとは思うのですが、歯磨きの熱意(情熱)はあるのに「目的」を間違えていることが多いのも事実!

 京セラを創業した稲盛和夫さんもこう言っています。仕事の結果=考え方×情熱×才能。

 いくら毎日頑張って磨いても(情熱)、身体が強く手が器用でも(才能)、歯磨きの目的を間違っていたら(考え方)だめです。

 ということで、前置きは長くなりましたが「歯磨きで落とすもの(目的)は何ですか?」について再度考えてみましょう!

「食べかす」、「朝磨くのは口臭のため」これらは全て間違いです。結論は、「細菌」=「プラーク」と言われるもの。歯磨きで落とすのは「細菌」これが正解です。

 特に細菌が付着しやすい場所(歯と歯の間)は要注意!歯ブラシが届かない場所の細菌はどんどん増え続け全身にも侵入!このことも覚えておきましょう。


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