診察室では伝えきれないこと Vol.75~愛媛経済レポート~令和3年4月号

~診察室で伝えきれないこと~

愛媛経済レポート

令和3年4月号に掲載されたコラム

歯の神経/歯根/エナメル質/象牙質/歯髄

神経を取ったのに歯が痛いのはなぜ?

「先生、その歯神経取ってるんです。痛くないはずなのに何で?」この会話、歯科医院あるあるです。実は歯の神経を取っても歯は痛く感じます。今回のトピック、このテーマでお話させて下さい。

歯は、歯茎から出ている頭(歯冠)と埋まっている根(歯根)に分かれ、歯冠は3層構造。エナメル質、象牙質、歯髄です。象牙質を削っても痛みはありますが、実質的な神経があるのはこの「歯髄」のみ。歯髄までむし歯が進行すると「あ、神経まで進行してますね、神経の処置をしましょう」とか「何もしなくても歯が激痛」なんて状態になります。→歯の神経を処置したとしましょう!これで一安心、歯本人(歯自身)は痛みを感じることがなくなる訳です。熱いもの、冷たいものにも反応することはありませんし、むし歯が進行しても激痛もない。「歯の神経を取ったから痛みが出ることはない」と思われるのはこのためです。

さて本題!前述たように「歯自身に痛みはない」が、「歯の周りの組織」は痛みを感じます。例えば歯の根を覆うように存在し、靭帯の様な役目をする「歯根膜」。歯が引っ張られたり咬んだ時ときに感じる「歯根膜」の神経は当然生きております。つまり歯根膜に炎症が起きると、歯の神経は死んでいても咬んだり揺れたりすると痛い=歯が痛く感じる。もう一つ例を…歯周炎という単語を聞いたことはありますでしょうか?その名の通り「歯の周りの炎症」。この歯周炎には「辺縁性歯周炎」と「根尖性歯周炎」があり、これは炎症(感染)が起きる場所で分けられています。「辺縁性歯周炎」と呼ばれるものが歯周ポケットからの感染、一般的に歯周病や歯槽膿漏と言われる炎症です。もうお分かりですね?歯の神経が死んでいようが生きていようが「辺縁性歯周炎」になれば痛みを伴います。

これが「歯の神経を取っているのに痛く感じる疑問」の答えです。続きはノエルクリニックのYouTubeチャンネルで語っておりますので是非!


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